2022年10月14日金曜日

10月16日 年間第29主日

 湯澤神父様の福音メッセージを聖書朗読箇所と併せてご紹介します。




【福音メッセージ】 年間第29主日 C年 2022年10月16日 湯澤神父

✚ Pax et Bonum

兄弟姉妹の皆様

  今日の福音も、ルカだけが残している個所です。ルカは、イエス様が「気を落とさずに絶えず祈らなければならないこと」を教えるためにこのたとえ話を残したと記しています。そして、最後にこうした強い信仰があってほしいというイエス様の望みを付け加えています。

  ところで、今日の第一朗読は、『出エジプト記』から採られています。イスラエル民族は、シナイ山で神様と契約を結んで神の民として歩み始めました。しかし、まだ神様に助けてもらう必要がありました。同時にまた、自分の力で歩まなければなりませんでした。つまり、異民族から食べ物や水を奪う必要がありました。つまり、勝利できる部族や民族を選び、戦いを挑み、食べ物や財産を略奪しなければなりませんでした。そうしないと生きていけないからです。その最初の相手がアマレク人でした。アマレク人にしてもイスラエル人にしても生きるか死ぬかですから必死で戦います。ここではモーセが手を挙げている間は、優勢に戦えていますが、疲れて手を下すとアマレク人が優勢になり、一進一退の戦いが続いたと記されています。夕方までこの戦いは続きましたが、ここでは象徴的な形が記されています。イスラエル人にとって手を上げるとイスラエル人は優勢となり、疲れて手を下すと劣勢になった、と。モーセが手を上げることは祈りの一つの形だったのです。つまり、モーセとその助け手たちは、一日中モーセと共にいて、祈り続けたことになります。

  この話しは、裁判官を訪れて願い続けた婦人の姿にどこか似ています。神を畏れず人を人とも思わない裁判官は、冷徹で非情な裁判官というよりは、ある意味では公正な裁判官と言えるでしょう。何ものにも左右されない公正さを持ち合わせています。そこに一人の婦人が尋ねてきます。この裁判官は、最初は婦人の訴えを取り上げようとはしませんでしたが、婦人の執拗さに、ついに取り上げることにしました。

  最初のアマレクの出来事もこの婦人の出来事も、物事の善悪を問う話ではありません。一日中祈り続けたモーセと従者のように、ひっきりなしにやって来る婦人。この祈り続ける姿をイエス様は問題にしたかったようです。そこには頼り切る姿、絶えず祈る姿を見ることができます。

イエス様は最後に言います。「人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見出すだろうか」と。十字架を目の前にしてのイエス様の言葉であることを心に留めましょう。その時、イエス様を、そして神様を信頼し、頼る心をもって十字架に、また御父に迎うことができるでしょうか。徹底的に、頼れるでしょうか。イエス様の言葉は、単に祈り方を教える言葉ではなく、もっと厳しい言葉のようですね。        湯澤民夫


【聖書朗読箇所】

信じる者の力である神よ、

  あなたは呼び求める者の願いにこたえてくださいます。

  わたしたちが祈りと信頼の心をもって、あなたに近づくことができますように。

集会祈願より


第1朗読 出エジプト記 (出エジプト 17章8-13)

 アマレクがレフィディムに来てイスラエルと戦ったとき、 モーセはヨシュアに言った。

 「男子を選び出し、アマレクとの戦いに出陣させるがよい。 明日、わたしは神の杖を手に持って、丘の頂に立つ。」

 ヨシュアは、モーセの命じたとおりに実行し、アマレクと戦った。 モーセとアロン、そしてフルは丘の頂に登った。 モーセが手を上げている間、イスラエルは優勢になり、 手を下ろすと、アマレクが優勢になった。 モーセの手が重くなったので、 アロンとフルは石を持って来てモーセの下に置いた。 モーセはその上に座り、 アロンとフルはモーセの両側に立って、彼の手を支えた。 その手は、日の沈むまで、しっかりと上げられていた。 ヨシュアは、アマレクとその民を剣にかけて打ち破った。


第2朗読 使徒パウロのテモテへの手紙 (2テモテ 3章14-4章2節)

 (愛する者よ、)あなたは、自分が学んで確信したことから離れてはなりません。 あなたは、それをだれから学んだかを知っており、 また、自分が幼い日から聖書に親しんできたことをも知っているからです。 この書物は、キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、 あなたに与えることができます。 聖書はすべて神の霊の導きの下に書かれ、 人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。 こうして、神に仕える人は、どのような善い業をも行うことができるように、 十分に整えられるのです。

 神の御前で、そして、生きている者と死んだ者を裁くために来られる キリスト・イエスの御前で、 その出現とその御国とを思いつつ、厳かに命じます。 御言葉を宣べ伝えなさい。 折が良くても悪くても励みなさい。 とがめ、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。


福音朗読 ルカによる福音 (ルカ18章1-8節)

 (そのとき、)イエスは、気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために、 弟子たちにたとえを話された。 「ある町に、神を畏れず人を人とも思わない裁判官がいた。 ところが、その町に一人のやもめがいて、 裁判官のところに来ては、 『相手を裁いて、わたしを守ってください』と言っていた。 裁判官は、しばらくの間は取り合おうとしなかった。 しかし、その後に考えた。 『自分は神など畏れないし、人を人とも思わない。 しかし、あのやもめは、うるさくてかなわないから 、彼女のために裁判をしてやろう。 さもないと、ひっきりなしにやって来て、 わたしをさんざんな目に遭わすにちがいない。』」 それから、主は言われた。 「この不正な裁判官の言いぐさを聞きなさい。 まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、 彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。 言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。 しかし、人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。」