湯澤神父様の福音メッセージを聖書朗読箇所と併せてご紹介します。
※ 湯澤神父様は、ご病気の療養のため聖アントニオ修道院(東京・瀬田)に異動されました。長い間、福音メッセージをいただき大変有難うございました。ご自愛ください。
【福音メッセージ】 待降節第4主日 A年 2022年12月18日 湯澤神父
✚ Pax et Bonum
兄弟姉妹の皆様
昨日から降誕祭前の8日間に入りました。今日の福音は、待降節の第四の主日ですが、同時にこの8日間の第二日目に当たります。共観福音書では、二つのお告げのお話を伝えています。一つは有名な、ルカ福音書に出てくるマリア様へのお告げのお話しです。そしてもう一つが今日の福音書にあるマタイ福音書が残したヨゼフ様へのお告げのお話です。マタイは、イエス様の誕生の謂れ(次第)の二つ目として、これを書いています。
どういうルートかわかりませんが、ヨゼフ様はマリア様と同居する前に、マリア様の身ごもりを知ります。彼は、律法に誠実な正しい人だったので、表ざたにしないように、密かに分かれることを決心しました。すると天使が現れて、お告げを授けます。ヨゼフ様はこれを受け入れました。この時、天使は、生まれる子を「インマヌエル」と呼んでします。この名の謂れは、第一朗読のイザヤの預言に出ています。
このお告げの箇所は、様々なことが含まれています。そのすべてではありませんが、いくつかのポイントを挙げますので、それぞれを黙想してはいかがかと思います。第一のポイントは、ヨゼフ様は人として律法に忠実に生きる人でしたから、表ざたにすることができましたが、しませんでした。律法によると不倫に当たりますので、マリア様は処罰されます。ヨゼフ様はそれを望みませんでした。これに対して、天使は、ヨゼフ様を「ダビデの子」と呼び、マリア様を受け入れることを命じます。これによって、イエス様は、ダビデの子孫になります。つまり、メシア、キリストです。他人の善意を超える神様の計らいの違いです。
第二のポイントは、イエス様が「インマヌエル」と呼ばれたことです。第一の朗読、また、福音によると「神は我々と共におられる」という意味だと説明されています。旧約聖書をよく読むと、アブラハムにも、モーセにも神様は「私はどこにいてもあなたと共にいる」と言っています。いわば、イスラエルに告げられた神様の在り方は、「共にいる神」なのです。イエス様は、生まれる時そうした存在だと告げられていました。そして、イエス様自身が「世の終わりまで、あなた方と共にいる」と弟子たちに告げています。
まだまだ色々ポイントは探せるでしょう。皆さんの興味に従って、黙想できたらいいですね。この箇所は、クリスマスの出来事の中で、あまり取り上げられることがないので、それだけにこうしてポイントを見つけて、黙想できたら、クリスマスが豊かいなるのではないでしょうか。そして、毎年より豊かなクリスマスを迎えられると思います。
湯澤民夫
【聖書朗読箇所】
恵み豊かな父よ、
わたしたちの心にいつくしみを注いでください。
みことばが人となられたことを信仰によって知ったわたしたちが、
御子の苦しみと死をとおして復活の栄光にあずかることができますように。
聖霊による一致のうちに、あなたとともに神であり、世々とこしえに生き、
治められる御子、わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。
集会祈願より
第1朗読 イザヤの預言 (イザヤ7章10-14節)
(その日、)主はアハズに向かって言われた。
「主なるあなたの神に、しるしを求めよ。深く陰府の方に、あるいは高く天の方に。」
しかし、アハズは言った。「わたしは求めない。主を試すようなことはしない。」
イザヤは言った。「ダビデの家よ聞け。あなたたちは人間にもどかしい思いをさせるだけでは足りず
わたしの神にも、もどかしい思いをさせるのか。それゆえ、わたしの主が御自らあなたたちにしるしを与えられる。見よ、おとめが身ごもって、男の子を産みその名をインマヌエルと呼ぶ。」
第2朗読 使徒パウロのローマの教会への手紙(ローマ1章1-7節)
キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び出され、召されて使徒となったパウロから、(兄弟の皆さんへ。)
――この福音は、神が既に聖書の中で預言者を通して約束されたもので、御子に関するものです。御子は、肉によればダビデの子孫から生まれ、聖なる霊によれば、死者の中からの復活によって力ある神の子と定められたのです。この方が、わたしたちの主イエス・キリストです。
わたしたちはこの方により、その御名を広めてすべての異邦人を信仰による従順へと導くために、
恵みを受けて使徒とされました。この異邦人の中に、イエス・キリストのものとなるように召されたあなたがたもいるのです。――
神に愛され、召されて聖なる者となったローマの人たち一同へ。わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように。
福音朗読 マタイによる福音 (マタイ1章18-24節)
イエス・キリストの誕生の次第は次のようであった。母マリアはヨセフと婚約していたが、二人が一緒になる前に、聖霊によって身ごもっていることが明らかになった。
夫ヨセフは正しい人であったので、マリアのことを表ざたにするのを望まず、ひそかに縁を切ろうと決心した。
このように考えていると、主の天使が夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ、恐れず妻マリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって宿ったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。」
このすべてのことが起こったのは、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」
この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。
ヨセフは眠りから覚めると、主の天使が命じたとおり、妻を迎え入れた。