2021年11月21日日曜日

11月21日 年間第34主日

 ウルバン神父様の福音メッセージを聖書朗読箇所と併せてご紹介します。




【福音メッセージ ウルバン神父】


第34主日、 11月21日    “それでは、やはり王なのか”      ウルバン神父

何十年前のことでした。戦争が終わった後、私達家族が田舎から、何回も空爆された町ドルトムンドへ戻って来た。ある夜の時、私達何十人の若者は、空爆された教会の聖堂のガレキの中に作った大きな火を囲んで立っていた。周りに聖堂の残された壁、上に星空、真ん中に私たちの姿と顔を照らす炎。腕を組んで火を囲んで、燃える火をしばらくの間静かに眺めていた。その時の感動は、何十年後の今でも心の中に生きています。真中に燃えた火が、戦争に散らされて次々と故郷の教会に戻って来た私たちを照らし、体を温め、そのファイヤーは私達を一つに結んだ事。イエスは私たちの内にいると深く感じた。この神秘的な静けさのなかに、ギターの音また一人の静かな歌声が聞こえたが、もうすぐ二人、三人はともに歌って、最後には皆の声が一つになって、大波のように夜の中に響いていた。“Christus, mein König, Dir allein schwör ich die Liebe, lilienrein, bis in den Tod die Treue.「キリスト、わが王よ、あなたにのみ、百合のような汚れのない愛と忠実を誓う、死に至るまで」。12才であった私も皆と共に、胸を張って心から歌っていた。私達はその夜、悪、戦争と全ての暗闇に打ち勝つキリストに付いて行こうと、この感動的な雰囲気の中で心から望んでいた。

イエスは総督の前に連れ出された。ピラトはイエスを見た時、何を見たでしょうか。すべての悪に打ち勝つ偉大な光り輝く王でしょうか。そうではない。手が縛られて、疲れと飢え渇きで弱った人を。目が叩き潰され、鼻が折られ、血と唾に汚され、人に見放された人を。

ところが、このみすぼらしい姿から深い権威が現れ出た。それでピラトはイエスに聞いた。「お前はユダヤ人の王なのか」。イエスはピラトに答えた。「私は王であるが、私の国はこの世には属していない。真理に属するものは皆私の声を聞く」。そこでピラトが「それでは、やはり王なのか」と言ったが、ユダヤ人の責めを恐れて、イエスは死に渡された。

十字架に「ユダヤ人の王」と書いてあった。この世の王たちは自分のために多くの人を死なせるが、私達の王イエスは自分を逃げ捨てた友と私とあなたも守る為に、自分の命を自ら死に渡した。

小さい時、私は夏休みに何週間かを農家の叔父さんの所で過ごしました。その時の一つの出来事をまだ覚えています。ある小屋から鶏が出て来て、後ろから賑やかなヒヨコの群れがついてきた。雌鶏は美味しい食い物を見つけたら「ぐぐぐ」と子達を呼んで食べさせた。しばらくたった後、雨が降り始めた。小屋がだいぶん離れたので、雌鶏は急いで羽を広げながら「ぐぐぐ」と子達を呼び集めた。ヒヨコ達はササと羽の下に入った。雨が激しくなって、霰となったが、雌鶏はずっと静かに子達の上に座って、小さい者たちを温めていた。やっと雨が止んで天気が良くなった時、小さいヒヨコ達は次々と首とミニ羽を伸ばしながら母親の下から出て来て元気で遊んだが、雌鶏お母ちゃんは死んでいた。

イエス様は今日も私を、あなたも見ています、慈しんで見ています。「友よ、私の所へ来なさい。私にあなたを愛させてください。あなたを幸せにするのは私の喜びです。信頼をも って、恐れなしに来てください。私の翼の下に生きるのは素晴らしい。来て、いつでもあなたを待っています」との静かな促しを聞いているでしょうか。       ウルバン神父



【聖書朗読箇所】


全能永遠の神よ、

あなたはキリストを死者の中から復活させ、

いつくしみ深く万物を治める王としてくださいました。

招きにこたえて一つに集まるわたしたちを導き、

神の国のために働く力を授けてください。

   集会祈願より


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第1朗読 ダニエル書 7章13~14節


 夜の幻(まぼろし)をなお見ていると、

 見よ、「人の子」のような者が天の雲に乗り

 「日の老いたる者」の前に来て、そのもとに進み

 権威、威光、王権を受けた。


 諸国、諸族、諸言語の民は皆、彼に仕え

 彼の支配はとこしえに続き

 その統治は滅びることがない。



第2朗読 ヨハネの黙示録 1章5~8節


 証人、誠実な方、死者の中から最初に復活した方、

 地上の王たちの支配者、イエス・キリストから

 恵みと平和があなたがたにあるように。


 わたしたちを愛し、

 御自分の血によって罪から解放してくださった方に、

 わたしたちを王とし、

 御自身の父である神に仕える祭司としてくださった方に、

 栄光と力が世々限りなくありますように、アーメン。


 見よ、その方が雲に乗って来られる。

 すべての人の目が彼を仰ぎ見る、

 ことに、彼を突き刺した者どもは。

 地上の諸民族は皆、彼のために嘆き悲しむ。

 然り、アーメン。


 神である主、今おられ、かつておられ、

 やがて来られる方、全能者がこう言われる。

 「わたしはアルファであり、オメガである。」



福音朗読 ヨハネによる福音書 18章33b~37節


 「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。

 イエスはお答えになった。

 「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。

 それとも、ほかの者がわたしについて、

 あなたにそう言ったのですか。」


 ピラトは言い返した。

 「わたしはユダヤ人なのか。

 お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。

 いったい何をしたのか。」


 イエスはお答えになった。

 「わたしの国は、この世には属していない。

 もし、わたしの国がこの世に属していれば、

 わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。

 しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」


 そこでピラトが、

 「それでは、やはり王なのか」と言うと、


 イエスはお答えになった。

 「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。

 わたしは真理について証しをするために生まれ、

 そのためにこの世に来た。

 真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」