ウルバン神父様の福音メッセージを聖書朗読箇所と併せてご紹介します。
【福音メッセージ ウルバン神父】
復活節 5月15日 “今や、神は栄光をお受けになった” ウルバン神父
さて、ユダが晩さんの広間から出てきた。そこに何があったでしょうか。私達も静かに階段を上って、幾つかの油の火に照らされた広間の中を覗きましょう。弟子たちは薄暗い部屋の中でテーブルを囲んで、ジッとイエスの悲しそうな姿を見ていた。「あなた達の内の一人が私を裏切る」とイエスが言ったのである。その時、パンを取って、汁に浸して、言葉で言い表せない表情で一人、また一人を見つめた。最後に、しばらくの間ユダを見つめて、彼にそのパンを渡した。弟子達はその親しみ深いわざを見て、「ユダ、お前が羨ましい、なあ。僕達よりもお前をそんなに愛しているのか」と心の中で考えていた。イエスとユダは互いを静かに見つめあった。ユダはイエスの目を見た時、何と感じたでしょう。主の心を見る事ができた。「我が子よ、我が友よ、何をしようとするのか。本当に裏切るのか。愛しているのに、友よ、愛しているのに」と。
ユダのそばに、見えない敵がすでに待ち伏せている。彼の中にまだ不安、まだ戦いがあったでしょうか。分かりません。主の顔を見ながらパン切れに手を出したその瞬間に、決定した。「俺は決めた。やろう、裏切ろう」と。親しみのパン切れを食べながら、敵に心の門を開けた。その時、サタンがユダの中に入った。もう皆と一緒に、イエスと一緒に居られなかった。晩さんの広間から出た。外は夜でした。主はユダをもう止めようとしなかった、止める事もできなかったが、最後まで彼を守ろうとして、集まっている弟子に何も言わなかった。打たれても、捨てられても、和解の手を差し出しながら、いつか帰って来るのを待っていた。ペトロはその夜、鶏が鳴いた時、泣きながら帰って来たが、ユダは帰って来ませんでした。
私達も暗闇の道を歩こうとする時、イエスは今でも手に親しみのパン切れを持って私とあなたの前に立って、慈しんで言うのである。「我が子よ、あなたを愛しています。それでも離れようとするのか。いつか帰ってくるのを待っている。いつまでも待っている」。もしも自分が主から離れたら、孤独になり、光から離れたら、暗闇にさまよう。主との暖かさを失うと、心は凍って、死んでいきますが、イエスはあなたが生きて欲しい。
ユダが外へ消えた時、イエスは友を見回しながら言われた「今や、人の子が栄光を受けた、神も栄光をお受けになった」。深みのあり、理解しがたい、神秘に包まれている言葉。弟子達もその時、何も分からなかったでしょう。自分を無視して、人に潰されて、それでも愛し続ける事を。その夜、イエスは友に最後の願いを表した。「互いに愛し合いなさい、私があなたがたを愛したように」と。ところが、弟子はイエスの十字架につけられた見苦しい姿を見て、その言葉「父よ、彼らを許してください。何をしているか分からないからである」を聞いた時、少し分かるようになった。潰されても、愛する事は負けではなく、かえって、これこそは勝利、神の栄光の現れである。今でも、イエスの願いに生きようとしたら、必ず約束の霊に助けてくれる。
私の母は74才の時、肝臓がんで亡くなりました。司祭である兄は毎晩側にいて祈ったり、歌ったりした。苦しみの中の母の最後の言葉は「もう一回あの楽しいアレルヤを歌って」。兄は泣きながら歌った。「アレルヤ、アレルヤ、主に感謝。アレルヤ、主に賛美。アレルヤ、主に栄光」。母の唇がちょっと動いて、痛みのうちに心の中で神を賛美した。その後、目を閉じたが、兄は母の手を取って「母ちゃん、勝ったぞ、勝ったぞ」と叫んだ。その時、神が母によって栄光をお受けになった。
【聖書朗読箇所】
ともにいてくださる神よ、
あなたはキリストを死者の中からよみがえらせ、
限りないいつくしみを示してくださいました。
わたしたちが互いに愛し合うことによって、
愛そのものである神をあかしする者となりますように。
集会祈願より
第1朗読 使徒言行録 14章21b~27節
二人はこの町で福音を告げ知らせ、多くの人を弟子にしてから、
リストラ、イコニオン、アンティオキアへと引き返しながら、
弟子たちを力づけ、
「わたしたちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なくてはならない」
と言って、信仰に踏みとどまるように励ました。
また、弟子たちのため教会ごとに長老たちを任命し、断食して祈り、
彼らをその信ずる主に任せた。
それから、二人はピシディア州を通り、パンフィリア州に至り、
ペルゲで御言葉を語った後、アタリアに下り、
そこからアンティオキアへ向かって船出した。
そこは、二人が今成し遂げた働きのために
神の恵みにゆだねられて送り出された所である。
到着するとすぐ教会の人々を集めて、
神が自分たちと共にいて行われたすべてのことと、
異邦人に信仰の門を開いてくださったことを報告した。
第2朗読 ヨハネの黙示録 21章1~5a節
わたしはまた、新しい天と新しい地を見た。
最初の天と最初の地は去って行き、もはや海もなくなった。
更にわたしは、聖なる都、新しいエルサレムが、
夫のために着飾った花嫁のように用意を整えて、
神のもとを離れ、天から下って来るのを見た。
そのとき、わたしは玉座から語りかける大きな声を聞いた。
「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。
神は自ら人と共にいて、その神となり、
彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。
もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。
最初のものは過ぎ去ったからである。」
すると、玉座に座っておられる方が、
「見よ、わたしは万物を新しくする」と言い、
また、「書き記せ。これらの言葉は信頼でき、
また真実である」と言われた。
福音朗読 ヨハネによる福音書 13章31~33a、34~35節
さて、ユダが出て行くと、イエスは言われた。
「今や、人の子は栄光を受けた。
神も人の子によって栄光をお受けになった。
神が人の子によって栄光をお受けになったのであれば、
神も御自身によって人の子に栄光をお与えになる。
しかも、すぐにお与えになる。
子たちよ、いましばらく、わたしはあなたがたと共にいる。
あなたがたはわたしを捜すだろう。
『わたしが行く所にあなたたちは来ることができない』
とユダヤ人たちに言ったように、
今、あなたがたにも同じことを言っておく。
あなたがたに新しい掟を与える。
互いに愛し合いなさい。
わたしがあなたがたを愛したように、
あなたがたも互いに愛し合いなさい。
互いに愛し合うならば、
それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、
皆が知るようになる。」